遺伝子工学に欠かせないサンガーシーケンスのコストダウンについて考える: Part 2
目的
生物系のラボでは日々、様々なプラスミドを作製していると思います。この過程で任意のプラスミドに組み込んだ目的遺伝子の配列を確認する必要があります。この際に必要となる試薬が、BigDyeです。前回の記事では、いかにBigDyeをケチって安く済ませるか?について書きました。その時も書いたのですが、最近ではサードパーティー製の試薬が出ています。当然のことながら、サードパーティー製の試薬は安価なので今回は、これについて記事を書こうと思います。
kanenashi-kenkyu.hatenablog.com
本家BigDyeの価格
どのぐらいBigDyeが高いかというと。。。ほとんどの用途で選択するBigDye™ Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kitの場合、昔は、100 reactions用のキットで10万円しなかったような気がするのですが、最近では154000円もします。つまり、1 sampleあたり1540円(税抜)もします(吐血)。
このところ、サードパーティー製が販売されて売上にダメージがあったのかキャンペーンをしだしました(たった20%オフですが)。
(2019年5月現在)
キャンペーンで入手したとしても1 sampleあたり1232円(税抜)ということで破産してしまうので、実際にはケチって使っている状況です(笑)。
サードパーティー製試薬(BrilliantDye)の価格
最近入手可能なBrilliantDyeという試薬は、(最近、若干の値上げをかまし)100 reactionsで定価:134000円です。BigDyeと比べると20%弱お得ですね!これが良くキャンペーンをしていて92000円で手に入れることが出来ます。これで1 sampleあたり920円と言うことで大分安くなりました。
ケチケチプロトコル
BigDyeと同じく、マニュアルでは20 ulの反応でBrilliantDye 8 ulのところを、反応液を半量(10 ul)にしてBrilliantDyeを半量の4 ul使うという感じにするだけで、460円/sampleになりますね。
研究費に乏しい貧乏研究者なワタシは、コストダウンを考えた結果、現在はTotal 10 ulの反応液にBrilliantDyeを0.4 ul使うプロトコルをメインにしています。正直、0.32 ulぐらいまでは減らせると思うのですが、色々と試した結果0.4 ulを標準にしています。従って、1サンプルあたり46円になりました(笑)。
反応液量(ul) | BrilliantDye使用量(ul) | 1 sampleあたりの単価 | |
---|---|---|---|
マニュアル通り | 20 ul | 8 ul | 1340円(キャンペーン時;920円) |
半量プロトコル | 10 ul | 4 ul | 670円(キャンペーン時;460円) |
ケチケチプロトコル | 10 ul | 0.4 ul | 67円(キャンペーン時;46円) |
実際のプロトコル
BrilliantDyeを減らしたときに注意し無ければならない点として、反応液のbuffer組成が変わらないよう(最終的に1x bufferになるように)に5x bufferを添加する点です。ちなみにBrilliantDye自体は2.5x bufferになっています。
具体的には下記のmixtureを調製します。
試薬 | 液量(ul) |
---|---|
water | 10 - X - 2.52 ul |
templete (150 – 300 ng程度) | X ul |
10 uM primer | 0.32 ul |
5x buffer | 1.8 ul |
BrilliantDye | 0.4 ul |
サードパーティー製は不案ないの?
実際に切り換えて使っていますが、全く問題ないです。ちゃんとシーケンス読めます。サー○の人はBrilliantDyeは薄めるとダメだとか言っているようですが、そんなことないです!
終わりに
このように、ルーチンでするサンガーシーケンスはBrilliantDyeに変更することによって、半値ぐらいのコストカットが可能になりました。年間で数万円浮くんじゃ無いでしょうか。浮いたお金で使い倒したマイクロピペットを新調できちゃいますね(笑)!
研究費もマンパワーもないけど、なんとか実験して論文を出していきたいですね。