SDS-PAGEに欠かせないCBB染色液を自作してみる(Old-fashioned recipe)

目的

 生物系のラボでは日々、SDS-PAGEをしていると思います。リコンビナント蛋白質の発現確認、精製度のチェックなどなど幅広い用途でSDS-PAGEを行っています。この際、蛋白質のバンドを可視化するために様々な染色法が存在します。中でも、CBB染色は安い・楽ちんなので汎用されています。
 ワタシが学生の頃(とおいめ)所属していたラボでは、CBB染色液を購入して使用していました。そういうもんだとずっと思って使っていました(しかも使い捨て)。この行為が研究費をドブに捨てているとは思ってもみませんでした。
 今回は、CBB染色液の自作によるコストダウンについて記事を書こうと思います。CBB染色液のレシピは多く存在しますが、その中でも今回は、Old-fashionedなレシピを紹介します(老害丸出し)。

既製品のCBB染色液

 CBB染色液と一口に言っても、様々なタイプのCBB染色液が市販されています。まず初めに、色々なメーカーの販売しているCBB染色液をリストアップしてみました。

メーカー 製品名 定価(税抜) 容量 1 mlあたりの単価
ナカライテスク CBB Stain One Super(Ready To Use) 14500円 1000 ml 14.5円
関東化学 Rapid CBB KANTO 3S 8000円 1000 ml 8円
BIO-RAD Bio-Safe クマシーステイン 18500円 1000 ml 18.5円
タカラバイオ TaKaRa CBB Protein Safe Stain 10000円 1000 ml 10円
ThermoScientific SimplyBlue™ SafeStain 20000円 1000 ml 20円
ATTO EzStain AQua 10600円 1000 ml 10.6円
コスモバイオ Page Blue 83 Stain Reagent 3000円 500 ml 6円
Sigma-Aldrich EZBlue™ Gel Staining Reagent 16200円 500 ml 32.4円
富士フィルム和光純薬 Quick-CBB PLUS 11000円 1000 ml 11円

(2018年6月現在)

 こう眺めてみますと、高いような、そうでもないような絶妙なラインですね(笑)ミニゲルを染色する場合、15〜20 ml使用するとなると100〜400円ぐらいかかると試算されます。もうろん、使い回しできますので頑張ればコストは小さくなります。ちなみにワタシはPage blue 83が安いので使っていました。

古くからあるCBB染色液のレシピで自作してみる

 研究費に乏しい貧乏研究者なワタシは、コストダウンを考えた結果、自作の道を選びました(笑)それでは、作製してみます。ちなみにワタシは、現在は違うレシピを使用しています(安価かつファンタスティックなレシピですが後日記事にする予定です)。

試薬 加える量 メーカー カタログ番号 コスト
DIW 400 ml 自前
Methanol 500 ml 富士フィルム和光純薬 139-01827 100円
酢酸 100 ml 富士フィルム和光純薬 017-00251 161円
CBB R-250 2.5 g 富士フィルム和光純薬 031-17922 530円

 一晩ぐらい攪拌後、ろ紙で濾過と書いてありますが、ぶっちゃげ不要です(笑)このレシピを用いると、1 Lで800円ぽっきりで作製することが出来ました。やっすい既製品のざっくり1/10ぐらいのコストですね。ホクホクです。

既製品Page blue 83と比較してみた

 市販されているモノと比べてどうなん?ってことで、比較してみました。うん。変わらないですね。

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終わりに

 このように、頻繁に使用する試薬であるCBB染色液を適当に自作することによってコストが1/10以下になりました。使用量にもよりますが、万単位のコストカットになるのではないでしょうか!浮いたお金で割ってしまったゲル板を買えますね(笑)。
 ちなみに今回のレシピは古いレシピなので、今はもっと良いプロトコル&レシピが存在します。次回(いつになるか。。。)は、もっとモダン(笑)なCBB染色液を記事にしたいと思います。

研究費もマンパワーもないけど、なんとか実験して論文を出していきたいですね。

参考

CBB染色液の調整 | LifeScienceProject