生理活性物質等の定量に欠かせないELISA kitのコストダウンについて考える

目的

 生物系のラボでは日々、サイトカイン/ケモカインをはじめとする生理活性物質等を定量していると思います。特に、ELISA法を用いた定量が汎用されています。しかしながら、ELISAによる定量試薬はかなり高価であることが悩みの種です。今回は、これらELISA関連試薬を用いた実験のコストダウンについて記事を書こうと思います。

様々なメーカー品のコスト

 ワタシの若かりし頃(いつだよ)は、BDのOptEIAなるキットが第一選択でありブイブイ言わせていました。言わずもがな、BDの試薬は高いです(笑)。そこで、まずはMouse IL-6を例に、種々のメーカーの価格を調べてみました。96 well用の高級品は除外です(笑)。

メーカー 製品名 定価(税抜) 96 wellあたりの単価
BD Mouse IL-6 OptEIA ELISA Set 170000円 8500円
Invitrogen IL-6 Mouse Uncoated ELISA Kit 130300円 6515円
Biolegend Mouse IL-6 ELISA MAX™ Standard 110000円 5500円

(2018年7月現在)

 リスト化してみましたが、こう眺めてみると価格差がかなりありますね。ワタシの使っていたものは、BD→Biolegendという感じです。BiolegendにないものはeBioscience的なのが鉄板だったのですが、eBioscienceがサーモに買収されました。Invitrogenブランドになってしまったのでしょうか。。。40%オフキャンペーンの行方は如何に。。。

結局どれがいいの?

 研究費に乏しい貧乏研究者なワタシは、コストダウンを考えた結果、現在はBiolegendを購入して使用しています。Biolegendは、キャンペーンが豊富で40%オフで購入出来ます。なので96 wellあたりの価格は3300円になります。

試薬使用量をケチってコストダウン

 この手の試薬では、抗体溶液を100 µl使用するのが説明書のプロトコルです。これを真面目に守って実験するとコストがかかってシンドイので、昔は半量の50 ulで行っていました。これでも全く問題はありません。こうすると、96 wellあたりの単価は1650円になりますね(実際は諸々の消耗品が必要なのでこの価格ではありませんが)。

さらに試薬使用量をケチってコストダウン

 現在のワタシは、抗体溶液やTMBを1/4量である25 µl使用して実験を行っています。これを実現するには、普通の96 wellプレートでは面積が大きすぎて辛いことが問題になります。そこで、下記の96 wellプレートを使用して実験を行っています。

675061 - MICROLON, 96ウェル, マイクロプレート, 高結合, 平底 ハーフエリア, 199μl, クリア, PS, 10x4袋, 40入

 これは読んで字の如く、ウェル面積が通常の半分のプレートです。そのため、25 µlの液量でも問題なく実験が可能です。但し、実感として検量線の極々薄い領域(つまり検出下限近辺)は不安定になる感触があります。まぁ、そこまで低濃度を定量する生物学的意義があるのか疑問ですが。。。なので、個々の実験系で問題ないかどうかを検証する必要が初めにあるかと思います。全く問題ありませんが!こうすると、96 wellあたりの単価は825円になりますね!かなり安く可能になりました。
 さらに、サンプル液量も少なくて済むというメリットもあります。こうなると実験スケールを落とせるのでさらにコストダウンになりますね。ラボに寄りますが、年間数十万円お得なのではないでしょうか。安いプレートリーダー買えちゃいますね!

研究費もマンパワーもないけど、なんとか実験して論文を出していきたいですね。