生物系実験に欠かせないウシ血清アルブミン(BSA)のコストダウンについて考える

目的

 生物系のラボでは日々、抗体を使った各種実験(ELISAウェスタンブロットなど)をしていると思います。この時の実験の肝の1つがブロッキング過程になります。ブロッキング剤としては様々なものがありますが、最も一般的なものの1つがウシ血清アルブミン(BSA)です。
 ところが多くの人は、BSA自体に拘りがあるわけではなく、ラボにあるものを使用しているのではないでしょうか。しかし、BSAは意外と高価であり、これがまた結構コストがかかっています。
 特に学生さんなどは、昔からラボで代々使用されているBSAを使用している方が多いと思いますが、実は高い部類の製品を使用している可能性が高いです。今回は、これらBSAを用いた実験のコストダウンについて記事を書こうと思います。

BSAの種類と用途

 一口にBSAといっても、様々な種類(主に抽出方法や精製度の違い)があり、用途によって使い分けが必要です(とメーカーは言っている)。例えば、Merckのウェブサイトをみてみましょう。なんとBSAが46製品もあります(2018年8月現在)

www.sigmaaldrich.com

ジーザス!!!

同Merckには、下記のPDFファイルがあり、フガフガの実験には、ホゲホゲの型番のBSAを使用して下さいと書いてあります。

例えば、ELISAウェスタンブロットのブロッキングには、A7030かA6603を推奨と記載されています。これらは基本的にグロブリン不含、脂肪酸不含であったりでブロッキングに向いているようです。しかしながら、A7030は500 gで46万円、A6603は100 gで22万5000円です(笑)。こんなのを使ってたら破産しますね。。。ワタシが学生の頃に居たラボではこの教えを守っていました。

結局どれを使ってるの?

研究費に乏しい貧乏研究者なワタシは、コストダウンを考えた結果、これらの推奨BSAを利用するのを止めました(笑)。色々と問題が生じないか試してみて現在は、富士フィルム和光純薬のBSA(011-27055)を購入して使用しています。これは、1 gあたり138円という格安の部類にあります。長年使用していますが、全く問題ないです。

しかしながら、グロブリン不含・脂肪酸不含を保証しているわけではありませんので、自分の実験系で問題がないかを検証することをオススメします(まぁ大丈夫だと思うけど)。

キャンペーン時に購入せよ

 定価でも安いこの製品ですが、キャンペーンが強烈です(笑)例年、何度かキャンペーンで安売りをしています。なんと、1 gあたり96.6円!!!

終わりに

 このように、普段使用する試薬であるBSAの場合、製品を変更するだけで1/6〜1/16のコストカットが可能になりました。年間数百g使用するとした場合、数十万円以上のコストカットになりますね!浮いたお金でちょっとした機器が買えそうです(笑)。

研究費もマンパワーもないけど、なんとか実験して論文を出していきたいですね。