SDS-PAGEに欠かせないCBB染色の時短により早く帰宅したい

目的

 生物系のラボでは日々、SDS-PAGEからのCBB染色をしていると思います。リコンビナント蛋白質の発現確認、精製度のチェックなどなど幅広い用途でこれを行っています。前回の記事では、このCBB染色液を自作することによってコストダウンを謀りました。

kanenashi-kenkyu.hatenablog.com

 これによってコストは安くなりましたが、実はCBB染色での最大の悩みは時間がかかることです。電気泳動→染色→脱色の過程はtime-consumingな過程であり、イライラがとまらないでいました。そこで今回は、CBB染色の時短によって早く帰宅して幸せになることを目的とし、時短法について紹介します。

通常プロトコルについて

 まずはOld-fashioned recipeのCBB染色液を使う際の通常プロトコルを記します。

SDS-PAGE
↓ゲルをCBB染色に浸す
↓振盪(30〜120分程度)
↓CBB染色液を捨てる
↓DIWで2回ぐらいリンス
↓脱色液に浸し、キムワイプ等をいれる
↓振盪(180分ぐらい?)
↓脱色液交換
↓振盪(overnight?)
撮影

 かったるくてやってられないですね(笑)そこで、これら染色と脱色の過程を短くしたいと思います。そのための武器は、電子レンジです。

電子レンジを使って時短する

 次に、電子レンジを使って時短する方法です。

プロトコル

SDS-PAGE
↓ゲルをCBB染色(20 ml)に浸す
↓電子レンジ(600 Wで30〜35秒ぐらい;沸騰直前ぐらい)
↓振盪(5〜10分)
↓CBB染色液を捨てる
↓DIWで2回ぐらいリンス
↓脱色液に浸し、キムワイプ等をいれる
↓電子レンジ(600 Wで1〜2分ぐらい。脱色液の量に依存;沸騰直前ぐらい)
↓振盪(10分)
↓脱色液を捨てる
↓脱色液に浸し、キムワイプ等をいれる
↓電子レンジ(600 Wで1〜2分ぐらい。脱色液の量に依存;沸騰直前ぐらい)
↓振盪(10分)
撮影

結果

染色過程

  • 電子レンジでチンした後に5または10分浸透しましたが、振盪時間は5分で十分でした。

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脱色過程

  • 電子レンジでチンした後に10分振盪するだけでバンドは確認可能になりました。
  • この過程をもう1サイクル行うと、もう十分のSN比だと思います。
  • もっとバックグラウンドを低減したい場合は、この後普通に一晩脱色液で振盪すれば良いと思います。 f:id:kanenashi_kenkyu:20180612123517j:plain

終わりに

 このように、電気泳動終了後40分程度でCBB染色を終えることが出来ました。普通にやると4時間ぐらいかかりそうな気がするので、この時短は幸せなのではないでしょうか。

研究費もマンパワーもないけど、なんとか実験して論文を出していきたいですね。

参考

www.sciencedirect.com