大腸菌の培養に欠かせない培地のコストダウンについて考える
目的
生物系のラボでは日々、大腸菌を培養していると思います。微生物自体を用いる研究だけで無く、発現系の構築などなど幅広い用途で大腸菌を培養する必要があります。 特にリコンビナント蛋白質の作製やプラスミドの大量調製などの際に液体培地が大量に必要となってきます。その際に、最も一般的に用いられる培地がLB培地です。LB培地を作製する際に必要になるのが、Yeast extract、Tryptone、塩化ナトリウムになるわけです。
ところが多くの人は、これらの試薬に拘りがあるわけではなく、ラボにあるものを使用しているのではないでしょうか。しかし、特にYeast extractとTryptoneは高価であり、これがまた結構コストがかかっています。
特に学生さんなどは、昔からラボで代々使用されている試薬を使用している方が多いと思いますが、実は高い部類の製品を使用している可能性が高いです。今回は、これらの試薬を用いた培養実験のコストダウンについて記事を書こうと思います。
様々なメーカー品のコスト
とりあえず、様々なメーカーのものを探してみました。微生物用培地製品と言えば、BD(Difco)という老害(高齢)研究者も多いですよね。要するに、BD(Difco)にあらずんば、培地に非ず。ところが!BD(Difco)!高い!
Yeast extract(乾燥酵母エキス)
メーカー | 製品名 | 定価(税抜) | 入数 | 1 gあたりの単価 |
---|---|---|---|---|
BD | Yeast extract | 18200円(毎年冬にキャンペーンで13650円) | 500 g | 36.4円(キャンペーン時;27.3円) |
Sigma Aldrich | Yeast extract | 15700円 | 500 g | 31.4円 |
ナカライテスク | Yeast extract | 10400円(毎年冬にキャンペーンで6240円) | 500 g | 20.8円(キャンペーン時;12.48円) |
ナカライテスク | Yeast extract) | 75600円 | 5000 g | 15.12円 |
(2018年6月現在)
Tryptone
メーカー | 製品名 | 定価(税抜) | 入数 | 1 gあたりの単価 |
---|---|---|---|---|
BD | Tryptone | 13400円(毎年冬にキャンペーンで10060円) | 500 g | 26.8円(キャンペーン時;20.12円) |
ナカライテスク | Tryptone | 8000円(毎年冬にキャンペーンで4800円) | 500 g | 16円(キャンペーン時;9.6円) |
(2018年6月現在)
探せる範囲でリスト化してみましたが(あまり選択肢は多く無さそうです)、こう眺めてみると価格差がかなりありますね。ちなみにBD(Difco)はやはり高いです。
結局どれがいいの?
研究費に乏しい貧乏研究者なワタシは、コストダウンを考えた結果、現在は両方ナカライテスクの500 g入を購入して使用しています。これは、BDと比べると半額程度という安さです。長年使用していますが、全く問題ないです。
ちなみに塩化ナトリウムは、富士フィルム和光純薬の20 kg入りを購入して使っています。これ超安いです。普通に500 gのボトルを買うよりも半額以下であります( ´∀`)bグッ!
キャンペーン時に購入せよ
定価でも安いナカライテスクのYeast extractとTryptoneですが、キャンペーンが強烈です(笑)例年、冬にキャンペーンで安売りをしています。なんと、40%オフ!!!ワタシは毎年冬に、年間使用量を纏め買いしています。
終わりに
このように、普段から大量に使用する試薬であるこれらの試薬の場合、製品をBDからナカライテスクに変更するだけで半額以下のコストカットが可能になりました。年間1000 g使用するとした場合、BD(Difco)を切り捨てるだけで4万円ぐらいのコストカットになりますね!浮いたお金を貯めて振盪培養器を買いたいです(笑)。
研究費もマンパワーもないけど、なんとか実験して論文を出していきたいですね。